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内容証明とは?
内容証明という言葉は大半の方が聞いた事があるかと思いますが、郵送した文書の内容を郵便局(日本郵便株式会社)が証明する書類です。詳しく理解されている方も少ないかと思います。内容証明で重要なのは、以下の5点です。
一般的な普通の手紙だと、「受け取ってない」とか「もらったけど中身見ていない」とか、受け取った書面そのものを改ざんしたりか…明確な意思表示が損なわれる可能性が高いのです。
内容証明Point!
- いつ(書面を発送した日、受け取った日)
- 誰が(発送人)
- 誰に(受取り人)
- どんな内容を(書面の内容)
- 郵便局が証明することです
内容証明の効力
内容証明は効力がスゴイ書面というイメージがありますが、実際の効力はそれほどでもありません。単に、受取人に書面(意思表示)を伝えた事を証明するだけであって、書面に記載されている通りの行為をする必要はありません。
例えば、12月1日にAさんがBさんに慰謝料100万円を内容証明で請求し、受け取り人のBさんに12月3日に到達した場合、内容証明がBさんに届いただけであって、Bさんが100万円を払う義務は生じません。
また「〇月〇日まで返答して下さい」という内容の内容証明であっても、必ず期日まで返答する義務はありませんし、法律上も返答する義務もありません。
内容証明は簡単に言えば、単なるお手紙にすぎません。
では内容証明を利用する効果はどんな所にあるかというと…
内容証明の効果
- 言った、言わない、貰った、貰わない等のトラブル防止(郵便局が書面を証明する)
- 心理的圧迫
内容証明を活用する場面として一番大きいのは「心理的圧迫」です。内容証明が手元に届くとドキッとしたり何となく重要な書面というイメージして、精神的なダメージを受けつつあります。
不倫相手が内容証明を貰うと「逃げられない」「自分は間違った事をしてしまた」そんな心理的圧迫を生じます。
内容証明の使用は慎重に!
不倫の相手に慰謝料を請求する方法に、必ず内容証明を使用する必要はありません。簡易書留や一般書留の方法で請求する事もできます。内容証明の効力の一つに「心理的圧迫」とありましたが、実はこの心理的圧迫が相手方の考え次第で心情を激昂する可能性もあります。
心理的圧迫の良い例
相手方→ 内容証明受取り→ 相手方の心理「ヤバイ、私(俺)間違った事してしまった」
心理的圧迫の悪い例
相手方→ 内容証明受取り→ 相手方の心理「喧嘩上等!慰謝料なんか一銭も払わない!」
このように、受け取る相手の気持ち次第なんですね。被害者(不倫された側)からすれば、「あなたが悪いんでしょう!」と言いたいところだと思いますが、受け取った相手の意思(どんな気持ちか)まで、強制する事はできません。
なので、内容証明 = 宣誓布告(勝負しましょう)というイメージなのです。
どんな内容の内容証明がいいのか?
書籍やネットで検索すれば、不倫における慰謝料請求の内容証明の雛形が沢山あります。「じゃ、ネットを参考に」と思ってしまいますが、お勧めはしません。
なぜなら、不倫と言っても色んな要素があって、不倫相手の性格・配偶者の有無・家族構成、不倫の内容等、ケースバイケースです。書籍、雛形に記載されている『法律〇〇条に基づいて、慰謝料〇〇円を請求します』のような一辺倒の内容で、加害者が応じる事は稀です。
内容証明の文面を専門家に依頼するメリット
内容証明は、文面の全てが証拠として残ります。書いてある内容がまともな内容であれば良いんですが、感情的になった文面だったり、慰謝料請求する上で必ず記載されなければ内容が記載されていないと後々不利になります。
このような問題を解決するために、弁護士、司法書士、行政書士等の専門の方に依頼する事がベストだと言えます。「餅は餅屋に聞け」ですね。
内容証明の名義
内容証明を誰の名義で書くかによって、受取人の印象が異なります。名義は大きく2つにわかれます。
- 代理人名義: 弁護士、司法書士
(例)〇〇 〇〇さん(被害者名)の代理人 弁護士 仙台 太郎 - 本人名義
代理人名義の場合、初めから専門家が関わっていると思い、受け取った人はそれなりの心理的圧迫を感じるメリットはあります。この場合、重要なのが、どんな内容が書いてあるかが重要で、誰が書いたかはどーでもいいんです。なので、心理的圧迫をメインとするのであれば、専門家に代理で記載依頼した方がいいですが、内容にこだわるのであれば、自分で書いた方がコストは安く済みます。
※当行政書士事務所では、記載内容を当事務所で作成し、名義は被害者様となります。
専門家へ依頼した場合の費用
弁護士、司法書士、行政書士のいずれかの場合、一般的に下記の順となります。
弁護士 > 司法書士 > 行政書士
また、専門家の名義が内容証明に記載するか否かで費用が異なる場合もあります。
内容証明の請求方法
- 慰謝料請求は内容証明でなければいけないのか?
- 内容証明以外の請求方法は?
詳しい内容は下記の通りです。
慰謝料請求は内容証明でなければいけないのか?
不倫による慰謝料請求=内容証明のイメージが強いと思います。このようなイメージがついたのは、やはりドラマややネットによる影響かと思います。
しかし、内容証明でなくても問題ありません。内容証明について、詳しくはこちらを参考にすればわかりますが、所詮「手紙」の一種です。
なので、相手に不倫の事実と慰謝料請求の意思を伝える方法は、電話、口頭、普通の手紙、メール、何でもOKです。
内容証明以外の請求方法
一般的な請求方法
- 普通郵便
- 簡易書留
- 一般書留
- 特定記録郵便
内容証明とは異なり、受け取った側も心理的圧迫がなく受け取ることができますが、放置される可能性は高いです。どちらかというと、ケンカ腰ではなく被害者が加害者に不倫の事実を知った事を伝える事だけの目的であれば有効な方法です。また、内容証明をはことなり、費用も安く気軽に利用できます。
内容証明の記載方法
ネットや書籍に書いてある記載内容を参考に請求しても、慰謝料は支払われる可能性は低いです。ネットで検索すると、よく、下記のような文面がひな形として載ってあります。
よくある内容証明の雛形
よくある雛形の内容
通 知 書
私、▼▼▼は、△△△の妻として、貴方に対し、次のとおり通知いたします。
貴方は、私の夫である△△△が既婚者であることを知りながら、昨年令和●年●月下旬頃から本年平成●年●月頃までの間、夫と不倫関係を継続していました。
妻のある男性と不倫関係を継続することは、妻としての権利を侵害する重大な不法行為であり、貴方は、△△△の妻である私に対し、貴方の不法行為によって私の被った精神的損害を賠償すべき責任があります。
つきましては、貴方に対し、慰謝料として金200万円を請求させていただきますので、本書到達後10日以内に下記口座にお振込みいただきお支払いください。
×××銀行 ×××支店
普通預金口座 口座番号 12345678
口座名義人 ▼▼▼ ▼▼▼
貴方から本書到達後10日以内に慰謝料の支払いもなく、また支払い方法の提示もない場合には、円満な解決ができないと判断して、法的措置を取らせていただきますのでご了承くださいますようお願いいたします。
上記雛形の内容で慰謝料は支払われることはほぼありません。なぜ、慰謝料が支払われないのかというと、相手側も自分の意見を主張したく素直に支払う意思がないためです。なので、支払われないというより、この段階では支払いたくないと言った方が正しいのかもしれません。
で、このような心理になると次のような流れが想定されます。
①いきなり、内容証明で慰謝料請求
↓
②支払う意思無し(無視)
↓
③被害者(不倫された側)は、調停か裁判を検討し始める…
しかし!被害者は、裁判となると費用が掛かるため、諦めるか、また内容証明を送るかで悩むこのように若干、悪循環になってしまいます。相手側(加害者)の心理はどんな状況なのか?
先程説明した通り、加害者は慰謝料請求されても無視をするか、反論してくるかの可能性が大きいです。支払いたくても、支払いたくない…こんな心理かもしれません。
『もし支払ったら更に追加で慰謝料を請求されるのではないのか?』
『嫌がらせをするのではなか?』等々…
この時の当事者心理として、被害者も加害者も争う姿勢であっても、お互い振り上げた拳を下す事ができない状況である事です。
このような悪循環を回避するために、まずはお互い何を主張したいのか、「話し合いの場」を設けることが重要です。
初回の内容証明(慰謝料請求)が重要です
初回の内容証明で慰謝料を請求する事が大事ではありません。重要なのは、相手(加害者)に自分(被害者)が不倫の事実を知って、その不倫に対し慰謝料を請求する意思表示を伝える事です。
間違っても、初回の内容証明で慰謝料が支払われる期待をもってはいけません。
初回の慰謝料請求 = スタート地点だと捉えた方が良いです。
内容証明より大切な事
当事者はお互い振り上げた拳を下す事ができない状況に、更に感情的になって、内容証明をお互い送りあっても話は進展しません。
先ほども述べたように、重要なのは『話し合いの場を設ける事』です。
よっぽど変わった人以外、大抵は喧嘩し続ける事は嫌いなはず…。どこかで落としどころをお互い探っているはずです。そのため、慰謝料請求の内容証明をきっかけとして、話し合う事、これが重要なのです。
言葉のキャッチボールが大切です。
慰謝料請求の記載方法についてもポイントがあります。例えば…
【例】記載方法1
A: 慰謝料200万円を支払って下さい
B: 慰謝料200万円の請求を検討しています。あなたの意見をお聞かせ下さい。
【例】記載方法2
A: 〇月〇日までに支払って下さい。
B: 〇月〇日までにお支払いすることはできますか?(お支払いが可能な日を教えて下さい)
加害者の心理としては、AとBのどちらかが良いかというと、大半はBかと思います。Bだと反論する余地があります。しかし、Aだと一方的ですね。被害者の方からすれば、憎い相手と会う事も、書面でやりとりする事も嫌かと思いますが、ゴールは慰謝料を支払わせる事!避けては通れないのです。
まずは無視の状態を避け、話し合い(言葉のキャッチボール)の状態へ導く事が重要なのです。
優し過ぎてもダメ
優しい書面内容でもいけません。法律の専門用語や判例(過去の裁判例)を記載しながら、相手に毅然とした態度も必要です。
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